初めて受診をされる皆さんへ

こんにちは。布施病院の精神保健福祉士(PSW)によるコラムが再開しました。
以前のように院内のPSWが交代で、精神保健福祉に関する情報を発信していきたいと思います。よろしくお願いします。

さて、久しぶりとなる1回目ですが、以前にも取り上げさせてもらった相談室が行っている「新患予約について」、改めてお話させていただきたいと思います。

当院は完全予約制となっています。初めて受診される際も同様で、予約を入れる際に私達PSWが生活状況や困っている症状について聞かせてもらうことになっています。大体15分程度を目安に伺っていますが、どうしてそのような事前情報を大事にしているのか、疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
予約の相談は、ご本人若しくはご本人のことをよく知る方(ご家族や関係機関等)からお話を伺います。お電話でも来院でも、どちらでも大丈夫ですが、場合によっては少しお待ちいただくこともあります。
相談の際にはお名前、生年月日、既往歴、現在通っている病院・飲んでいるお薬(場合によっては紹介状が必要となります)、お困りの症状についてだけではなく、家族構成や現在の生活状況、時には生育歴を聞くこともあります。何故、病院を受診するだけなのにここまで話す必要があるのか、疑問に思うかもしれません。



精神科の病気は出血がある怪我や骨折のように目で見て分かるものではありません。診断にあたっては、なぜそのような症状が出たのか、あらゆる面から考えていく必要があります。そういった観点から、ご本人がどういった環境に居るのか、今困っている症状と関連する何かがあるのかを検討してくためにも、確認させてもらっています。

一方で、ご本人が治療に臨める環境かどうかを知る事にもつながります。
例えば、物忘れがあるので治療したい希望があったとしても、その方が1人暮らしで且つ服薬することを忘れてしまうかもということになれば、お薬は出せません。多く飲み過ぎてしまう危険性もそうですし、何よりただ薬を出すだけでは“治療をしている”ことにはならないからです。そのような時は、相談の段階からきちんと服薬が出来るようご家族や関係機関の方と環境調整を行いつつ、“治療が出来る方法”を一緒に考えていくことが出来ます。

また、当院では初診の際には基本的にご家族の同伴をお願いしています。先ほども述べましたが、精神科の病気は目に見えない分情報がとても大事になります。ご本人が感じているものと、近くで接しているご家族から見える第三者的視点が、診断にあたってはとても重要になるのです。可能な限りご協力いただきたいと考えていますが、どうしても難しい場合は相談して頂ければと思います。

長々とお話させていただきました。日頃、様々な症状で受診を考えられている方とお話させていただいていますが、予約を取るためだけではなく、どうすれば治療しやすい環境になるのか、気持ちが楽になるのかを一緒に考えていきたいという気持ちでご相談を受けています。精神科を受診するまでには、たくさん悩んだり迷われたりする方が多いと思います。勇気をもって手をかけてくれたその重い扉を、一緒に開けられる手伝いが出来たらと考えています。今後とも、相談室をよろしくお願いいたします。